2006年 02月 07日
冬の追憶No.22-19 |
「第5話 迷路」
「第5話 迷路」は登場人物をめぐり心の緊張状態が続く章です。過去における負の遺産が清算されないまま、出口を求めてさ迷い続ける主人公たちの苦悩が描かれていきます。
今回の投稿では、読者の方々に遠山家・小林家が住む小町、大町付近の町の雰囲気を
知っていただくために、案内役を「雨漏り書斎」のamamori120氏にお願いし、友情出演
していただくこととなりました。役どころは小林家の良き隣人であり、甘いもの研究家として
その種の書籍を出版しているという設定にしてあります。
また「冬の追憶No.22-19」の中で使われます「雨漏りご夫妻の似顔絵」につきましては、「時々絵日記」の「かなさん」が描かれたものです。下記にご紹介させていただきました。雨漏り師匠、かなさん、ありがとうございました。
「時々絵日記」
鎌倉の朝は通勤や通学の人々を除き、住民の生活時間はゆったりと始まる。お店が開くのは、おおむね朝の10時頃の予定だ。K女学院の卒業式の朝、雨漏り氏は千晶の母に頼まれた和菓子のことで、気持ちが高揚していた。
思い付くと、すぐ行動する性格は昔から変わっていない。また頼まれると気軽に相談にのってあげるので、周囲の人からの信望も厚い。特に「甘い物や旨い物」のこととなると行動に拍車がかかる。さっきから、時計ばかり気にしている。まだ9時にしかなっていない。楽しいことを
待つのは、もどかしい。
その様子に、家人Tが背中を押すように
家人T:「貴方、さっきから腰が落ち着かないわよ。気になるでしょう?八幡様にお参りに
行きがてら、もうお出かけになったらいかが」
雨漏り氏:「見透かされているね。実はそうなんだよ。
鎌倉五郎本店の『ひとひら桜餅』は個数限定だから、すぐに売り切れてしまうからね。
我が家のだったら残念しかたがないですまされるけど、なにせ千晶ちゃんのお母さんからの頼まれたものだからね。
じゃ、早めに出かけとするか」
「鎌倉五郎本店 店舗情報」 「鎌倉五郎商品情報」 「鎌倉五郎商品使用原料一覧」
そう言いつつも楽しそうである。小林家・雨漏り家の住む大町一丁目付近には、安産の神様として「おんめ様」の通称で親しまれる日蓮宗のお寺「大巧寺」がある。そして身延山久遠寺・池上本門寺と並ぶ日蓮宗最古の寺院である「妙本寺」。また身延山から日蓮の遺を分骨された「本覚寺」。ここは百日紅(さるすべり)の巨木や栴檀(びゃくだん)、蝋梅(ろうばい)、牡丹(ぼたん)等の花で有名である。
「大巧寺」 「妙本寺」 「本覚寺」
他には、通称「ぼたもち寺」と呼ばれている「常栄寺」、苔寺として名高い妙法寺「立正安国論」を草した岩窟や小庵がある日蓮上人ゆかりのお寺「安国論寺」、北条政子が亡き夫頼朝の冥福を祈って建てたお寺「安養院」などの寺院が点在している地区だ。
「常栄寺」 「妙法寺」 「安国論寺」 「安養院」
ご参考までに、「鎌倉Today」と「e-ざ鎌倉・ITタウン」というサイトにリンクしてありますので、ご興味のある方はご覧ください。
静香や千晶が通うK女学院には、静香の住む小町一丁目よりも、大町一丁目からの方が
近い。それなのに、千晶は毎朝遅刻気味で学校までバタバタと走っている。しっかり者の
静香の長女気質に対して、甘えん坊でのんきな千晶の末っ子気質がこんなところにも顕著
に現れる。卒業式の朝も同じだった。
背後から、聞きなれた声と靴音が静香を追っかけてきた。千晶だった。
千晶:「静香、静香、静香ってば、待ってよ。もう~歩くの、速いだから。でも、こう
して静香を追いかけながら登校するのも
最後かと思うと、なんか淋しいね」
静香:「私も同感。追いかけてきてくれる人がいなくなると思うと、早足する気に
なれないわ」
千晶:「そうだった・ん・だ!静香っていじわるね。私が毎朝、追っかけるのを楽しんでいた
なんて。ずるい、ずるい」
ふたりのじゃれ会う声が、初春の街路に桃の花のように響く。
しかし雨漏り夫妻は、そんな千晶がかわいくてしかたがない。子煩悩な雨漏り氏はなおさらだ。家人Tに急かされるようにして出かけた雨漏り氏だったが、早朝の八幡様は気持ちいい。今日は3月3日の雛祭り。早朝にもかかわらず、我が子の健やかな成長を祝ってお参りに来ている親子の姿が垣間見られる。
嫁いだ娘達の可愛かった姿が、目に浮かんだ。今では、その愛おしさは孫娘にと移行しつつあった。彼は自分のことを「おじいちゃん」と呼ばせる代わりに「甘党キング」と呼ばせている。なんとも、微笑ましい光景である。
玉砂利を踏む心地よい草履の音が響いてきた。振り返ると、巫女の装束を身にまとった
女性が、雨漏り氏の脇を抜けるように通り過ぎていった。そんなに美しい女性ではなかったが、鶴岡八幡宮という歴史ある神社の境内で出会うと、香り立つような色気を感じてしまうから不思議だ。
雨漏り氏はその後ろ姿に、しばし見とれていた。
ふと、家人Tと一緒でなくてよかったと思ってしまった。そう思ったのにもかかわらず、餡蜜屋で出会っ
た頃のTの愛らしい笑顔を思い出してしまう自分が
おかしかった。
彼は「なんだかんだ言っても、幸せな人生だな~」とつぶやいた。長年連れ添った夫婦というものは、そういうものかもしれない。
幸せには様々な色がある。この物語の主人公
「静香」と「創」には、どんな色が似合うだろう。
希望や期待を表す菜の花色(なのはないろ)や
早春の古都鎌倉に映える萌黄色(もえぎいろ)
あたりが・・・・。
そして「愛の歴史」を積み重ねてこられた雨漏りご夫妻には、紅梅色(こうばいいろ)や紅藤色(べにふじいろ)あたりが、お似合いになるかもしれませんね。皆さんは、どんな風にお感じになられますか?勿論、ご本人のお好みもお聞きしてみなければ・・・・・。
和色からは、繊細な色彩イメージや四季折々の自然を感じ取ることができます。
ご参考までに、「和色図鑑」のサイトにリンクしてみました。ご自分のお好きな
色を探してみてください。
「和色図鑑」
また「色彩心理」性格分析テストというおもしろいサイトを見つけましたので、ご紹介させていただきます。ご興味のある方は、遊び感覚でトライしてみてください。
「色彩心理」性格分析テスト
この物語を幅広く皆様にお読みいだだけたらと思い、下記の「ブログランキング」
サイトに登録してみました。何か心に感じることがありましたら、クリックして
いただけますと嬉しく思います。またご意見・ご感想などを、ご気軽にコメントして
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「人気blogランキング 詩、小説部門」
「第5話 迷路」は登場人物をめぐり心の緊張状態が続く章です。過去における負の遺産が清算されないまま、出口を求めてさ迷い続ける主人公たちの苦悩が描かれていきます。
今回の投稿では、読者の方々に遠山家・小林家が住む小町、大町付近の町の雰囲気を
知っていただくために、案内役を「雨漏り書斎」のamamori120氏にお願いし、友情出演
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その種の書籍を出版しているという設定にしてあります。
また「冬の追憶No.22-19」の中で使われます「雨漏りご夫妻の似顔絵」につきましては、「時々絵日記」の「かなさん」が描かれたものです。下記にご紹介させていただきました。雨漏り師匠、かなさん、ありがとうございました。
「時々絵日記」
思い付くと、すぐ行動する性格は昔から変わっていない。また頼まれると気軽に相談にのってあげるので、周囲の人からの信望も厚い。特に「甘い物や旨い物」のこととなると行動に拍車がかかる。さっきから、時計ばかり気にしている。まだ9時にしかなっていない。楽しいことを
待つのは、もどかしい。
その様子に、家人Tが背中を押すように
家人T:「貴方、さっきから腰が落ち着かないわよ。気になるでしょう?八幡様にお参りに
行きがてら、もうお出かけになったらいかが」
雨漏り氏:「見透かされているね。実はそうなんだよ。
鎌倉五郎本店の『ひとひら桜餅』は個数限定だから、すぐに売り切れてしまうからね。
我が家のだったら残念しかたがないですまされるけど、なにせ千晶ちゃんのお母さんからの頼まれたものだからね。
じゃ、早めに出かけとするか」
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そう言いつつも楽しそうである。小林家・雨漏り家の住む大町一丁目付近には、安産の神様として「おんめ様」の通称で親しまれる日蓮宗のお寺「大巧寺」がある。そして身延山久遠寺・池上本門寺と並ぶ日蓮宗最古の寺院である「妙本寺」。また身延山から日蓮の遺を分骨された「本覚寺」。ここは百日紅(さるすべり)の巨木や栴檀(びゃくだん)、蝋梅(ろうばい)、牡丹(ぼたん)等の花で有名である。
他には、通称「ぼたもち寺」と呼ばれている「常栄寺」、苔寺として名高い妙法寺「立正安国論」を草した岩窟や小庵がある日蓮上人ゆかりのお寺「安国論寺」、北条政子が亡き夫頼朝の冥福を祈って建てたお寺「安養院」などの寺院が点在している地区だ。
ご参考までに、「鎌倉Today」と「e-ざ鎌倉・ITタウン」というサイトにリンクしてありますので、ご興味のある方はご覧ください。
静香や千晶が通うK女学院には、静香の住む小町一丁目よりも、大町一丁目からの方が
近い。それなのに、千晶は毎朝遅刻気味で学校までバタバタと走っている。しっかり者の
静香の長女気質に対して、甘えん坊でのんきな千晶の末っ子気質がこんなところにも顕著
に現れる。卒業式の朝も同じだった。
背後から、聞きなれた声と靴音が静香を追っかけてきた。千晶だった。
千晶:「静香、静香、静香ってば、待ってよ。もう~歩くの、速いだから。でも、こう
して静香を追いかけながら登校するのも
最後かと思うと、なんか淋しいね」
静香:「私も同感。追いかけてきてくれる人がいなくなると思うと、早足する気に
なれないわ」
千晶:「そうだった・ん・だ!静香っていじわるね。私が毎朝、追っかけるのを楽しんでいた
なんて。ずるい、ずるい」
ふたりのじゃれ会う声が、初春の街路に桃の花のように響く。
しかし雨漏り夫妻は、そんな千晶がかわいくてしかたがない。子煩悩な雨漏り氏はなおさらだ。家人Tに急かされるようにして出かけた雨漏り氏だったが、早朝の八幡様は気持ちいい。今日は3月3日の雛祭り。早朝にもかかわらず、我が子の健やかな成長を祝ってお参りに来ている親子の姿が垣間見られる。
嫁いだ娘達の可愛かった姿が、目に浮かんだ。今では、その愛おしさは孫娘にと移行しつつあった。彼は自分のことを「おじいちゃん」と呼ばせる代わりに「甘党キング」と呼ばせている。なんとも、微笑ましい光景である。
女性が、雨漏り氏の脇を抜けるように通り過ぎていった。そんなに美しい女性ではなかったが、鶴岡八幡宮という歴史ある神社の境内で出会うと、香り立つような色気を感じてしまうから不思議だ。
雨漏り氏はその後ろ姿に、しばし見とれていた。
ふと、家人Tと一緒でなくてよかったと思ってしまった。そう思ったのにもかかわらず、餡蜜屋で出会っ
た頃のTの愛らしい笑顔を思い出してしまう自分が
おかしかった。
彼は「なんだかんだ言っても、幸せな人生だな~」とつぶやいた。長年連れ添った夫婦というものは、そういうものかもしれない。
幸せには様々な色がある。この物語の主人公
「静香」と「創」には、どんな色が似合うだろう。
希望や期待を表す菜の花色(なのはないろ)や
早春の古都鎌倉に映える萌黄色(もえぎいろ)
あたりが・・・・。
そして「愛の歴史」を積み重ねてこられた雨漏りご夫妻には、紅梅色(こうばいいろ)や紅藤色(べにふじいろ)あたりが、お似合いになるかもしれませんね。皆さんは、どんな風にお感じになられますか?勿論、ご本人のお好みもお聞きしてみなければ・・・・・。
和色からは、繊細な色彩イメージや四季折々の自然を感じ取ることができます。
ご参考までに、「和色図鑑」のサイトにリンクしてみました。ご自分のお好きな
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「和色図鑑」
また「色彩心理」性格分析テストというおもしろいサイトを見つけましたので、ご紹介させていただきます。ご興味のある方は、遊び感覚でトライしてみてください。
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by jsby
| 2006-02-07 21:39
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